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『小学生が大学生と本質を学んだ科学の授業』

子どもの心に長く残る授業

 

2009年11月17日(火) 

新型インフルエンザで子ども二人がダウンし、私まで風邪をひいて

しまって、すっかりご報告が遅くなりました。

11月7日に、以前からご紹介していました東京大学(工学系ゼミ)

戸田東小学校との連携で第1回目の科学の授業が行われ、私たちの

NPOはこの準備をお手伝いしてきました。 

授業では6台のビデオカメラと10台のICレコーダー、そしてアンケート

によってデータを収集しました。

データの分析はこれからですが、今回の授業の成果については収集した

データを分析し、きちんとした形で発表したいと考えています。

このブログでは3つの授業の概要と、子どもたちの興味深い反応を

ご紹介したいと思います。

 

「ロケットエンジンの秘密 

     ~空気のパワーを引き出そう~」

 

授業では、まず最初に、学生からロケットが飛ぶ仕組みについての

説明がありました。

言葉による説明だけでなく、作用反作用を体感できる台車を使った

実験もありました。

子どもたちも実験を手伝い、教室は驚きと歓声に溢れていました。

理論を学んだ子どもたちは、どういう条件のペットボトルロケット

よく飛ぶのか、まず予想を立てます。

予想を立てたら、さぁ外で実験だ~!

 

< ペットボトルロケットの実験 >

*写真は2009年11月9日の産経ニュースWebサイトに

 掲載されたものをお借りしています

Stm0911092005016p1

  

 

 

 

ペットボトルロケットについては、飛ばしたことがある子どもが割と

いたようです。

でも、”水が入っていない”ペットボトルロケットや、”水が満タンの”

ペットボトルロケットを飛ばしてみるのはもちろん初めて!

 

水が入っていないペットボトルロケットはどのように飛ぶのか、水が満タン

だったら一体どうなるのか、予想を立てた子どもたちが見守る中、

実験が行われます。

その結果はというと、水が入っていないペットボトルだって飛ぶのですよね。

ただ、遠くへは飛びません。

水が満タンのペットボトルはというと、重すぎてあまり飛ばなかったのですが、

噴出する水の勢いがものすごくて、後ろで見ていた子どもたちは泥だらけ!

泥だらけになりながらも、子どもたちは好奇心いっぱいの目で実験を見守って

いました。

いえ、正確には「見守って」ではなく、ペットボトルロケットの周りに集まって

ああでもない、こうでもないと大騒ぎ&泥だらけでした!

 

 

「こちら戸田東小発電所 ~電池を作ろう~」

 

この授業は、小学校理科ではおなじみの電気や電池について学ぶ

というものでしたが、学校では教えてもらえない「電気の正体は何なのか」

という、電気の本質に迫る内容の授業になりました。

電気の正体を説明するには「世の中のモノって一体何でできているの?」

ということも伝えなくてはいけません。

大学生のお兄さんが話す、原子や分子、そして電子の話を聞く子どもたちの

まなざしはびっくりするほど真剣でした。

電気が流れる仕組みを聞いた後、レモンを使ってボルタ電池を

作ります。

レモンにあれこれ差してみて、どうそれば電気が流れるのか、そして

それはどうしてなのかを考えます。

 

< 何を差し込めば電池になるのかな? >

P1010028

 

 

 

 

そして、この後は電気分解で電気を流す実験をしました。

炭素の棒2本では電子は流れないはずなのに・・・

一体何が起こっているのか、子どもたちと一緒に考えます。

 

< 電気分解を見守る子どもたち >

09110750

 

 

 

「電気が流れるのは、電子を出したい側と受け取りたい側があるから

なんだよ。」

という説明も、

「小学生5年生に分かるのかな?」

と私たち大人は心配でしたが、子どもたちってすごいですね。

 

終了後のアンケートでは

「とても難しかったけど楽しかった!」

とか

「家に帰ってみんなに教えてあげたいです」

という感想がありました。

そして、終了後の子どもたちの会話はと言うと

「水はね、酸素と水素でできててね・・・」

なんて話にもなっていました。

子どもたちの好奇心は、伸ばせる環境があればどこまででも

伸びていきそうです。

 

「今日は飛行機の発明者になろう! 

           ~紙飛行機実験教室~」

 

この授業は、最初にライト兄弟が人類初飛行に成功したライトフライヤー号

の話から始まりました。

何度も何度も実験を繰り返し、自分たちでデータをとって改良を重ねたという

その地道な努力の結果、人類初飛行に成功できたのだということでした。

そして子どもたちも今日は飛行機の発明家になります。

といっても、作るのは紙飛行機。

紙飛行機も本物の飛行機と同じ理論で飛ぶのですから、子どもたちが

研究するには身近で良さそうですよね。

まずは、基本的な折り方で紙飛行機を作り、飛ぶ距離を計測します。

データは5回計測して、一番大きい数値と一番小さい数値を除外します。

残った3つのデータで平均値を取ります。

この方法は、大学で研究する時にも使う方法なのだという説明を、子どもたちは

興味深そうに聞いていました。

グループ毎に、一度目の計測が終わった後は、次に羽の面積だけを変えて

みます。

一度にいくつも条件を変えるのではなく、一つの条件だけを変化させるという

ことは実験をする上で大切だという説明がありました。

 

< 飛行距離を計測します >

09110750_2

 

 

 

今回の授業では「どのように折ったらよく飛ぶ紙飛行機になるのか?」

という答えは教えてはもらえません。

なぜなら、それを見つけることこそが実験をすることの意義だからです。

すぐに答えだけを与えられて覚えることに慣れている子どもたちにとっては

少しものたりないと感じたのかもしれません。

ですが、終了後のアンケートの中で「実験で大切なこと」について聞くと

「失敗してもそれを認めて理由を考えること」と答えた子どももいました。

研究者である博士課程の3人から、子どもたちは大切なことを学んだのだな

と感じました。

 

 

このように、それぞれ特色のある3つの授業は無事に終わりました。

今回の授業は、ゼミの開講日から実習日までの期間がとても短かったことで

どのチームも前日は遅くまで準備をしてくれていました。

例えば、紙飛行機の授業をした博士課程の3人は、前日に学会から帰って

きて、夜中の2時半まで大学に残って準備をしたのだと話してくれました。

教壇に立つことになった学生が、全力で科学の本質を伝えようとした今回の

授業は、確かに子どもたちの中に何かを残したのだと思います。

データの分析が楽しみです。

 

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コメント

内容を読んで、とても感動しましたshine
子どもたちが理解しようとする姿勢と、院生たちの伝えたいという気持ちが少しでも近づいて、お互いのどこかのスイッチが入ったことを祈ります。

神戸女学院大学の内田樹教授は、こんなことを述べています。
「「学びたい」という欲望は、自分が何のために何を学んでいるのか「すこしわかりかけているのだが、全部はわからない」ときに亢進する。」(11月17日のブログより引用)
「学びたい」と思う気持ちこそが、「学力」が向上するときなのです。

今回も参加できませんでしたが、

投稿: yard | 2009年11月27日 (金) 13時16分

(続き)
今回も参加できませんでしたが、これからも子どもたちの目をキラキラさせていってください!

投稿: yard | 2009年11月27日 (金) 13時18分

☆Yardさん☆
コメントありがとうございます!
連携授業では子どもたちが本当に楽しそうでした。
内容は難しいものもありましたが、きっと「学び
たい!」と思ってくれた子どもたちがいることと
思います。
そして、やっと21日のサイエンスカフェのご報告が
載せられました・・・
今回の鈴木真二先生のサイエンスカフェでもまた
子どもたちの歓声やキラキラした目に出会えました。
いつも応援ありがとうございます。

投稿: yasuko | 2009年12月 9日 (水) 19時35分

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