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『科学の授業のゴールはどこでしょう?』

答えを学ばせるのがゴール? 疑問を持たせるのがゴール? 

2010年5月26日(水

毎週金曜日は東京大学工学理解推進プロジェクトというゼミ

に参加して、私たちのNPOの方針を軸とする視点から、科学教育を

研究しています。

これは東京大学工学教育推進機構の機構長でいらっしゃる

鈴木真二教授が立ち上げられたゼミです。

このゼミから新しい科学の授業が生まれているという話は前の記事でも

紹介させて頂きました。

 

さて、先週金曜日(5月21日)もそのゼミの日だったのですが、来週行われる

テーマと内容の発表を前に、CoREF(大学発教育支援コンソーシアム)

副機構長でいらっしゃる三宅なほみ教授、「小学生に科学の授業を

する際にはどんなことに気をつけたら良いのか」について、認知科学の

視点で話をして下さいました。

ゼミ生自身が授業を受ける子どもたちの立場になってみながら学んだ

この講義で議論になったことの一つは「科学の授業のゴールは

どこに設定したらいいだろう?」ということでした。

 

例えば「雲はどうしてできるの?」というテーマについて子どもたちと

一緒に考えてみるとします。

これを考える材料として「空気が冷やされると気体の水(H2O)

すべてが気体ではいられなくなって一部液体の水(H2O)になる」

という説明が外せないというのは、ゼミ生の一致した意見だったの

ですが、ここで鈴木先生からゼミ生に質問がありました。

「子どもたちから、「どうして空気が冷やされると液体の水になるの?」

と聞かれたらどう答えますか?」

これをきっかけに、ゼミでの議論のテーマは

「科学の授業のゴールはどこだろう?」

へと移っていきます。

ゼミ生は、それぞれ考えて意見をいいます。

鈴木先生のご意見は

「科学はそもそも仮説の上に成り立っているので、これだけが絶対に

正しいということはないし、まだまだ分からないこともたくさんあります。

ですから授業のゴールは、そのテーマに興味を持って、さらに終わった

時に何か一つでも疑問が持てる、ということにしてはどうでしょうか?」

というものでした。

三宅先生からも

「答えを教え込むような授業は、子どもたちはその時には分かったような

気になりますが、実際には後には何も残っていないというケースもあります。

逆に授業中は難しくて分からないと感じても、終わった後にたくさんの疑問が

わいてくる授業もあります。疑問を持つことをゴールにするのはいい

ですね。」

とアドバイスを頂きました。

 

国語や英語、数学や社会については、人間が考えたルールや筋道を

学習する教科で、何を学んだらいいかは分かりやすい気がします。

ところが科学(理科)はというと「今のところは正しい」と思われていることを

学習していくことになります。

そしてそれはいつ変わるともしれないものです。

科学の授業の1つの在り方として「疑問に思ったことをどうやって

検証していくのかを学び、検証した材料を矛盾なく説明するストーリーを

自分自身で考えてみる」という形があってもいいと感じています。

そして私たちのセンス・オブ・ワンダーで開催するジュニアサイエンス

カフェのいくつかはこういう形のものです。

これはOECDの調査で出題された科学の問題の傾向に似ています。

日本の成績が散々だった、あのテストです。

 

ゼミの最後で

「授業をかっこよくまとめて終わるのは簡単ですが「世の中には分から

ないことがまだまだある」ということを子どもたちに伝えて下さい。」

とおっしゃった鈴木先生の言葉が印象的でした。

 

毎回熱い議論が繰り広げられるこのゼミですが、次回はいよいよ授業の

テーマと内容の発表です。

戸田東小学校の江川校長先生もゲストでいらっしゃいます。

このゼミから、どんな素敵な授業が生まれるのか、私たちもとても楽しみに

しています。

 

< 終了後も議論が続くゼミの様子 >

10052120

  

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