『研究者の研究手法に触れるジュニアサイエンスカフェ、大盛会でした!』
研究者に直接会えるジュニアサイエンスカフェ開催しました。
2016年11月21日(月)
11月19日に、東邦大学の山口耕生先生をお招きして、小中学生の
親子を対象とした第12回ジュニアサイエンスカフェを開催しました。
お手伝いには、東京大学大学院工学系研究科のゼミの受講生だった
学生さんたちや卒業生などが来てくれて、いつものようににぎやかで楽しい
サイエンスカフェとなりました。
先生の恐竜大絶滅に関連するご研究は、11月18日に論文がサイエンス誌に
掲載されたばかりで、とてもホットなテーマに触れることができました。
( The formation of peak rings in large impact craters
http://science.sciencemag.org/content/354/6314/878 )
サイエンスカフェは山口先生のクイズで始まりました。
まずはみんな立って、間違えた人から座っていきます。
「40~30億年前、大陸は今よりも大きかったか小さかった?」
なんて問題には、物知りの子どもたちが多かった今回のサイエンス
カフェでも、さすがに多くが脱落!
クイズでウォーミングアップをした後は、いよいよ恐竜大絶滅の
なぞに迫ります。
< 山口耕生先生 >
今回のサイエンスカフェでは、せいぜい12、3年しか生きていない
子どもたちに、どうやって46億年という時間スケールを感じて
もらうのかというのも課題でした。
そこで先生と相談して私たちが準備したのは4.6メートルの巻物
です。
< 地球46億年を4.6mにまとめた巻物 >
この巻物では、人類の繁栄は最後のたった5ミリメートルという衝撃!
しかも、「あれ?恐竜って意外と最近?」という感覚になってきます。
巨大な隕石がユカタン半島沖に衝突したという話までは多くの子どもたちが
すでに知っていました。
人類が存在していない大昔のことが調べられる証拠の一つに、地下に
眠る堆積物(コア)があります。
そのコアは掘って手に入れるわけですが、スコップで掘るのでしょうか?
いえいえ、それでは積み重なった順番もぐちゃぐちゃになってしまいますよね。
ここで登場するのがコア採取用の長い筒です。
まだ地層さえ知らない子どもたちもいるので、私たちは子どもたちが
実際に模擬体験でコアを採取してもらえる道具を準備しました。
< コア採取の模擬体験 >
研究者でなくても、この中に宝物が隠れているようでワクワクします。
実際に私たちは化石(に見立てたビーズ)を隠しておきました。
< 本物のコア > *東北大学プレスリリースよりお借りしました
そしていよいよ本題に入ります。
「どうしてユカタン半島沖の隕石の衝突で恐竜が死んでしまった
のでしょう?」
という先生からの問いにも、子どもたちからは
「落ちた時に大きな津波が起きたんだよ!」
「大火事が起きたからだよ」
「すすで空が覆われて、太陽光線が届かなくなったから」
と先生も驚く答えが返ってきます。
そこで先生は、
「どうして火事が起きたんだろう?」
「どのくらいの大きさの津波だったのだろう?
「太陽光線が届かないとどんなことが起こる?」
と、子どもたちの答えから、恐竜大絶滅へつながるストーリーを
考えさせます。
知識としては知っていても、きちんと論理立てて説明するのことは
大人にとっても難しいもので、これが今回のサイエンスカフェのテーマ
でもありました。
さて、ここまで考えたところで、知識で知っている隕石の衝突が、
一体どのくらい巨大なエネルギーを生み出したのかを感じて
もらう実験をします。
最初に、ミニ空気砲で空気の力を体感します。
実際には衝突時の風圧で多くの恐竜が死んだのだそうです。
< ミニ空気砲の実験 >
続いて、隕石の模擬衝突実験をします。
< クレーターのでき方を観察する実験 >
隕石がぶつかった部分は砂が波を打ってクレーターを作りました。
同じように津波も起こったと考えられます。
力いっぱいなげても大して大きなクレーターはできないこともわかりました。
直径160キロものクレーターができるための力なんて、どれほど大きな
力なのでしょう。
< 砂の飛び散り方を調べる実験 >
隕石は、実際には30度という角度で海底にぶつかったことが分かっています。
同じように砂にぶつけてみると、一定の方向へ砂が激しく飛び散ることが
観察できます。
これが岩石の破片であれば、まるでミサイルのように恐竜たちを襲ったに
違いありません。
理科室に戻り、子どもたちは実験結果もふまえてグループワークに
移ります。
グループワークの手順は以下の通りです。
1.恐竜が生きていくためには何が必要だったのかを書き出す
2.なぜそれがなくなったのかを考えて絵で表し、恐竜絶滅の原因を
説明する
絵を描くといっても、恐竜を素早く描くのはなかなか難しいため、白亜紀に
いたであろう恐竜たちをイラストで準備をしておきました。
< 恐竜が生きていくために必要なものを書きだす >
< 論理的にストーリーを組み立てて絵に表す >
子どもたちの真剣な議論に、山口先生も思わずにっこり。
< グループ毎の発表(3年生~中学1年生) >
どのグループも、それぞれの根拠に基づいてストーリーが
組み立てられていました。
山口先生から講評を頂き、最後に先生からは
「こういうようにストーリーを組み立てて調べるということは、私たち
研究者はいつもやっていることなのです」
というお話がありました。
そして先生の、
「今回は恐竜大絶滅のお話でしたが、私の関心は生命にあります。
こんな地球上の大事件があったからこそ、また生まれたり復活したりする
生命があるのです」
という言葉でサイエンスカフェは締めくくられました。
壮大な地球の物語を子どもたちは感じてくれたでしょうか?
この中から、近い将来、科学者、研究者が生まれるのかもしれません。
サイエンスカフェが成功に終わったのも、快くゲストスピーカーを引き受けて
下さった山口耕生先生、お休みにも関わらず会場を貸して下さり、当日も来て
下さった高砂小学校の先生方、参加して下さった皆様、準備から当日まで
手伝ってくれた東京大学大学院工学系研究科の学生さん、卒業生のみなさん、
そしてセンス・オブ・ワンダーのスタッフのお陰です。
ありがとうございました。
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